働き方改革関連法の簡単な基礎知識

最終更新日 2019年7月22日 by discov

働き方改革関連法とは

働き方改革関連法とは2018年6月に成立した法案で、いわゆる働き方改革を示しています。

正式名称は「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」です。

もしくは働き方改革一括法とも呼ばれており、労働基準法と労働安全衛生法、労働時間等の設定の改善に関する特別措置法にじん肺法、雇用対策法や労働契約法法、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律、そして労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律の8本の労働法を改正させるための法律の通称でもあります。

働き方改革関連法案が成立!企業の対策と対応の解説まとめ」も参考

ここまで大規模な法改正は70年ぶりと言われており、この改正に踏み切った背景には現代の社会問題が大きな原因です。

現代の社会問題、その筆頭に少子高齢化が挙げられます。

現在の社会人やその社会人をまとめている立場にある人間たちは昭和世代ですが、その世代において共働きや育児休暇からの仕事復帰など現在求められている働き方は非常識でした。

けれども貧富の格差は広がる一方である以上、その非常識を常識に変えなくてはいけません。

子育てや介護など疎かにはできない家庭の事情を両立させるための処置や長期労働の改善、正規雇用者と非正規雇用者といった雇用形態の差などが主な問題点です。

こうした問題点だけではなく、そもそも女性や高齢者など社会的弱者の労働環境が整っていない場合もあります。

これらをまとめて多様な働き方を肯定し、労働しやすい社会を目指しているのが働き方改革関連法の目的です。

とはいえ70年ぶりの法改正もあって、社会の要である企業への配慮が含まれています。

いずれにしても2018年4月6日に行われた第196回国会に提出された法案は、同年6月29日に賛成多数で可決されたわけです。

ちなみに公布は2018年7月に行われ、2019年4月1日にて順次施行されています。

 

働き方改革関連法のポイント

この法案のポイントは、第1の柱から第3の柱というタイトルがつけられてまとめられているのが特徴的です。

第1の柱は働き方改革の総合的かつ継続的な推進で、いわゆる雇用の対策が基本になっています。

第2の柱は長時間労働の是正と多様で柔軟な働き方の実現で、これは労働基準法の改善です。

例えば高度プロフェッショナル制度の創設もとい導入というものが含まれていますが、これは年収1075万円以上の一部の専門職を労働時間に関する保護から外します。

この制度の対象は労働時間と成果のバランスが釣り合っていない職種で、例を挙げるなら投資家などです。

外される保護の内容は残業時間や休日、深夜の割増賃金の支払いとなっており、秋から施行されていきます。

他にもニュースでよく取り上げられる過労死の原因となっている時間外労働に対する罰則、時間外労働の上限規制の導入や長時間労働抑制策および年次有給休暇取得の一部義務化などが第2の柱の要です。

第3の柱は雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保で、パートや派遣社員の雇用管理や運営を適正にするための内容が詰め込まれています。

そんな働き方改革関連法はまさしく労働者の味方ですが、その労働者を雇用する側からすれば戸惑いは大きいです。

実際に困惑したまま2019年4月を迎えた企業はあり、おまけに改正部分が大企業と中小企業で異なる部分があります。

例えば先述した時間外労働の上限規制の導入は大手の企業であれば4月からですが、中小企業は2020年4月からです。

また同じ職場において正社員と非正規雇用社員の待遇の差をなくす事を目指した同一労働同一賃金の実現、これに関してもそれぞれで時期が違うのが特徴的です。

2010年4月から施行されるのが大企業で、その1年後となる2021年4月から施行されるのが中小企業です。